FRP製品の見える化
FRP製品は設置した時より紫外線や使用状況により劣化が進行していきます。
予防保全の準備段階で『劣化診断』を行い、余寿命を評価します。
少なくとも年1回程度の定期的にFRP機器内外面の点検を行い、劣化状況を把握することが重要となります。
診断方法としては、目視による外観検査や、バーコル硬度計での硬度測定を行うことで劣化度合の判定に有効です。
よって、点検結果をもとに延命措置かつ安全に使用することを第一に考え、『FRP製品の見える化』をご提案いたします。
(故障を予測し、製品寿命を延ばし、コスト・安全衛生面での優位性のご提案)
法令・基準におきましても、点検による記録の徹底等が記載されており、『劣化診断』は重要視されております。
・水質汚濁防止法 第14条 5
・JIS K7012 ガラス繊維強化プラスチック製耐食貯槽
・FRPS C003 強化プラスチック製耐食機器に関する性能検査指針
FRP製品の長寿命化のニーズが高まる中、いつまで安全に使用できるかを把握することで、定期的なメンテナンス、更新計画などお客様のメリットにつながるご提案をいたします。
損傷の形態と等級および措置 (強化プラスチック製耐食機器に関する性能検査指針 FRPS C003-1989) |
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損傷の形態 | 意味及び範囲 | 検査面 | 等級1 | 等級2 | 等級3 | 等級4 |
引き続き使用しても差し支えない。 | 引き続き使用しても差し支えないが、1年(又は半年)後に劣化の進行度合を再検査する。 | 損傷部を部分補修後、再使用する。 | 使用を停止し、全面的補修又は取り換えを行う。 | ||||
1 |
割れ(クラック)、 ひび割れ(クレージング) |
積層内部に達する深い亀裂を割れという。 また表層の微細なひびをひび割れという。 |
内面 | 微細なひび割れが局所に認められる。 | 強化層に達する割れが一カ所でも確認できる。またはひび割れが表層全面に拡大してきている。 | 大きくかつ深い割れが強化層にまで認められる。 | |
外面 | 割れが外層に確認できる。 | 等級2の割れが進行しつつある。 | 同上 | ||||
2 | 剥離 | 積層の層間剥離 | 内面 | 局所的な剥離が積層内部に発生し、変色するかまたは強く押すとプカプカする。 | 左項の剥離部分が全面に進展しつつある。 | ||
3 | 変色・脱色 | 内面 | 表層の変色のみで、他の損傷を伴わない。 | 表層の変色が認められが、削り取れるほど変質・劣化していない。 | 耐食層の一部が変色かつ変質し、削り取られる。 | 耐食層の全体が変色かつ変質し、削り取られる。 | |
4 | ふくれ(ブリスター) | 表層のふくれ、並びに積層内部のふくれを含む | 内面 | 表層にゴマ粒のようなふくれが発生している。 | 耐食層に大きなふくれが認められる。 | 耐食層及び強化層に大きなふくれが認められる。 | |
5 | 損耗 | アブレーション(摩耗)およびエロージョン(浸食) | 内面 | 表層の光沢が消え、損耗の痕跡が認められる。 | 表層と中間層の一部が損耗している。 | 外層(強化層)の一部まで損耗している。 | |
外面 |
外層の表面が損耗して、ガラス繊維の露出が認められるが、他の損傷を伴わない。 |
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6 | 白化 | 積層内部の強化材とマトリックスとの間に空隙を生じ、白く見えてくること。 |
内面 |
白化が耐食層の局所のみに認められるが、他の損傷を伴わない。 | 白化が耐食層の広範囲に認められる。また白化が強化層の局所に認められる。 | 白化が耐食層および強化層の全面に認められる。 | |
外面 | 外層の表面の白化のみで他の損傷を伴わない。 | ||||||
7 | 変形 | 容器の過大なふくれや座屈によるへこみなど、形状全面の変形 | 内面 | 小さな変形が形状全体に認められるが、他の損傷を伴わない。 | 大きな変形が形状全体に認められ、他の損傷を伴う。 | 大きな変形が形状全体に補修後も繰り返し発生する。 | |
外面 | 同上 | 同上 | 同上 | ||||
8 | 膨潤 | 内容物の浸透により、板厚が増加したもの。 | 内面 | 板厚を測定し、板厚のかなりの増加が認められる。 | 板厚の増加が30%以上となった。 | ||
9 | 溶出 | 材料中のある成分が溶け出してくること(溶解、分解を含む) | 内面 | 表層の材料中の成分の溶出が認められるが、他の損傷を伴わない。 | 表層が減肉または消失し、中間層のガラス繊維が露出する。 | 耐食層が全体にわたって溶出し、強化層のガラス繊維が露出する。 | |
10 | 接合部剥離 | 接着接合部の剥離 | 内面 | 剥離がオーバーレイ接着部の片側長さの20%以下、あるいは接着面積の10%以下認められる。 | 剥離がオーバーレイ接着部の片側長さの20%以上、あるいは接着面積の10%以上認められる。 | 剥離がオーバーレイ接着部の片側面積の30%以上認められる。 | |
外面 | 同上 | 同上 | 同上 | ||||
11 | ピンホール ピッチング | 積層板の微細な穴またはくぼみで、板厚の1/2以上に達するもの | 内面 | 微細な穴が積層板に認められるが貫通していない。 | 微細な穴が積層板を貫通する。 | ||
外面 | 同上 | 同上 |