FRPの概要

FRPとは、Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)の略で、強化繊維(ガラス繊維・カーボン繊維など)と樹脂(不飽和ポリエステル樹脂・ビニルエステル樹脂・エポキシ樹脂など)を組み合わせたものです。

1930年ごろ不飽和ポリエステル樹脂が開発され、その後FRP製ボートとして実用化されました。

複合材料であるFRPはさまざま特徴を活かし、船舶、宇宙開発、航空機、交通機器、電気通信機器、建築・土木、スポーツ機器、生活用品に活用され、先端材料としての地位を占めています。

材料開発においても、ガラス繊維やカーボン繊維、アラミド繊維などの繊維開発、また耐食性、耐熱性などの樹脂開発から熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂の開発まで進められてきました。

今後も宇宙開発や航空機などの最先端技術に貢献し続ける材料として期待されています。


FRPの特徴

1.軽くて強い

比重は鋼製部材の1/4~1/5。また、比強度が高くや衝撃に強い。
しかし、ヤング係数は鋼製材料に比べ小さいことから曲げやたわみには注意が必要です。

2.耐食性

鋼製部材は酸化(錆びる)しやすい材料でありますが、無機質であるガラス繊維とポリエステル樹脂の複合材料であるFRPは耐食性に優れています。

3.耐水性

FRPを水中浸せきした場合、浸せき20日後までは強さの低下がみられますが、その後強さが上昇しています。
これは、不飽和ポリエステル樹脂の硬化が促進されることが影響していると推測されます。

FRPを水中浸せきした場合、浸せき20日後までは強さの低下がみられますが、その後強さが上昇しています。
これは、不飽和ポリエステル樹脂の硬化が促進されることが影響していると推測されます。

4.電気的特性(絶縁性・透過性)

項目特性値(参考)
体積抵抗率(Ω・cm)10^12~10^15
表面抵抗率(Ω)10^12~10^15
比誘電率10^12~10^15
貫通絶縁耐力(kV/mm)13~40
FRPの電気的特性(参考値) FRP構造設計便覧より出典

FRPのうちGFRPは電気絶縁性、電波透過性などの電気的特性に優れています。

5.加工性

鋼製部材やコンクリート部材に比べ加工性が非常に優れており、切断やライニングなど現場加工やメンテナンスにも適しています。

FRP成形法

FRPの成形法は小型船舶のような大型構造物から精密性の必要な宇宙産業の製品まで様々な大きさ、用途によって使い分けされます。

①解放型成形法

ハンドレイアップ法・スプレイアップ法・フィラメントワインディング法・回転成形法

エフズテックはハンドレイアップ成形をメインとし、大型、ワンオフ製品を得意にしております。

②密閉型成形法 

バック法・オートクレーブ法・コールドプレス法・レジンインジェクション法・引抜法・SMC法・BMC法

FRPに使用する樹脂の選定

複合材料であるFRPにおいて、使用する樹脂の選定は非常に重要です。

オルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂(Gタイプ、オルソ系)汎用樹脂とされており、耐食性や使用温度などの影響を受けない製品に使用されます。
イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂(イソ系)Gタイプよりは耐食性に優れることから、影響の少ない耐食タンク・製品に使用されます。
ビニルエステル樹脂耐酸・耐アルカリ性に優れた耐食グレードの樹脂であり非常に耐食性や耐熱性にも対応できることから、様々な耐食タンクや耐食製品に使用されます。

よって、耐食性能は オルソ系<イソ系<ビニル となり使用条件によって樹脂を使いわけることが重要となります。

FRPの耐久性について(FRP耐用年数)

外表面にゲルコート層を施した角形タンク

FRPタンクの耐用年数は、『FRP水槽構造設計計算法(社団法人強化プラスチック協会)』より15年とされております。

その間接水している浸水効果や屋外暴露の影響も考慮して許容値を設定しております。

使用環境や設置環境によっては20年以上問題なく使用されている実績もあり、耐久性に優れております。

FRPの耐候性について

FRPの耐候性には大きく2点の要因が影響されます。

1.赤外線による劣化

FRP外表面に樹脂リッチ層(ゲルコート層、サーフェイスマットの使用)で紫外線からの影響を緩和させることが可能となります。

このゲルコート層が受水槽における『FRP製水槽の藻類増殖防止のための製品基準(社団法人 強化プラスチック協会)』に準拠しておりますので、優れた遮光性も兼ね備えます。

2.砂塵等による摩耗

塗装することや耐候性フィルムを複層するなどの対策を講じることで劣化を防ぐことが可能となります。

FRPの強度特性について

高温時・・・母材となる樹脂の温度依存性が大きく、樹脂の耐熱性がFRPの耐熱性を支配することとなります。FRPの耐熱性を高めるためにはビニルエステル樹脂・ビスフェノール樹脂が最適となります。

低温時・・・極低温での強さ・弾性率は向上します。この要因としてはガラス繊維の固有性質によるものです。

各種FRPの極低温および室温の機械的性質

樹脂 曲げ強さ (MPa) 曲げ弾性率 (GPa) 引張強さ (MPa) 引張強さ (MPa)
77K 300K 77K 300K 300K 77K 300K
オルソ系不飽和ポリエステル樹脂 491 297 11.6 9.1 11.6 281 192
イソ系不飽和ポリエステル樹脂 523 320 13.5 10.2 13.5 294 178
ビニルエステル樹脂 625 329 14.7 11.4 14.7 294 197

FRP構造設計便覧 社団法人 強化プラスチック協会より出典

FRPの電気特性について

GFRPは電気絶縁性、電波透過性などの電気的特性が比較的に優れたプラスチック材料になります。
その機能は樹脂、ガラス繊維、成形方法や使用環境(温度、湿度、周波数)によっても大きく影響受けることがあります。

また、GFRPに導電性を付与するためには、カーボン繊維などの導電性材料を積層することで対応することが可能となります。

FRPのリサイクル

資源循環型社会に適応したFRP製品の再資源化処理方法は、セメント製造時に燃料及び原料として使用できる『セメント原燃化』手法です。
廃FRPを細かく破砕し、セメント製造工程で燃料・原料として使用されます。